Masood Shaffaf, School of Human Cultures
Study Abroad in Japan ; Through the Eyes of a Pakistani Student
Masood Shaffaf, Department of Nutrition

私は日本語を学習し始めた頃に日本語の果てしなさに魅了されて日本への留学を夢見はじめた。また、日本人の健康的な食文化、活動的なライフスタイル、長い平均寿命や世界中よく知られているマナーに憧れ、滋賀県立大学の生活栄養学科に進学することを決めた。2024年にその夢がとうとう叶い、人生の新しいページをめくって彦根市で大学生活を始めた。行ったことのない都市で知らない人ばかりに囲まれて不安を覚えるはずだったが、大学関係の方々と学科教員の方々に氷を溶かすような温かい笑顔で歓迎されたおかげで思い悩むことは一切なかった。
授業が開始して以来、異なる地域の日本人学生、海外からの交換留学生や博士課程の学生までありとあらゆる背景の学生と交流することで充実した学習環境に恵まれていることを日々かみしめている。それに、指導してくださっている教員の方々が学生の立場や理解度をよく把握したうえでいくら煩雑なことであれとても丁寧で親切に教えてくださっていることは感謝に堪えない。それと、学生一人一人が主体的に行動できるよう、また、自身の能力を最善に発揮できるような指導が工夫されており、日々の発見がたくさんある。授業以外にも他学部の学生と関わることができる部活やサークルがたくさんあり、自身の趣味や関心に合った活動に参加してとてもいい気分転換になっている。私は書道部のメンバーとしてハガキを作ったり、七夕の際に願いを込めた短冊を笹の葉に飾り付けたりしたことで、日本の行事についてもう少し分かるようになった。書道を生かして年末頃に友達や先生方に年賀状を渡し、お年玉と勘違いされたことは別として、いい思い出を作ることもできた。
1年目の夏休みに、環琵琶湖文化論実習というフィールドワークの1日に滋賀県の農業技術振興センターの訪問、近江牛の加工工場や琵琶湖博物館の見学などで滋賀県の地理的な特徴、農作物と農業技術の現状や琵琶湖を原産地とする動植物について学び、自身が住んでいる滋賀県はどのような地域か把握することができた。加えて、課題としての現地調査で、水口かんぴょうの栽培者を訪問し、直に水口かんぴょうのGI認定や生産の現状について詳しく伺うことで日本と自国でのユウガオのイメージや調理方法がどう異なっているかどう似ているかを知ることができた。これは滋賀県にしかできない貴重な体験となった。続いて、1年目の後期から生活栄養学科の専門科目の調理実習で全く馴染みのない和食、または中華料理および洋食の調理を行い、今まで味わったことのない食事を食べて今まで見たことのない世界が見えてきたと言っても過言ではない。後期はどんどん寒くなっていって中東出身として適応できるのに悩んでいたが、実習で日本のお米を食事してはじめて気づいたことがあった。これまで暑い時期に身体を冷やす効果のあるバスマティ米しか食べてなかったため冬はお米が食べにくいと思っていたが、日本のお米がそれと異なり、寒い時期に身体を温める効果があると身をもって実感した。実習の他、体育のジムで個人のメニューを作成して実行するという科目を履修するまで運動の必要性、意義や効果にあまり関心を持っていなかった。しかし、「寒いから運動したくない」という姿勢ではなく、「運動すれば身体が温まる」という態度をとってみて、運動が楽しくて実行しやすくなった。つまり、自分の目標を達成するためにしないといけないことをその手段の一つにするだけで何の苦労もなく達成できると分かった。彦根市は2025年の1月10日に雪が降り、身体を温かく保つことができたおかげで真っ白く染まっていく世界に感銘を受けることもできたと思う。ゆえに、少しだけの工夫で適切な運動と適切な食事をとることで睡眠の質もよくなり、身体の調子を絶好に整えることができると学んだ。当たり前のようなことかもしれないが、生活栄養学科の学生として大いに勉強になった。
続いて、2年目が始まり、1年間が一周して季節が昨年と同様に繰り返すだろうと思ったが、桜が咲くのを待つ喜びが一層強くて、今年の開花が去年と全然違うと感じた。初めてものを見る喜びより1年間待ち望んでの喜びがご褒美のようで甘かった。それに、桜の木を通りながら自転車で通学するのが毎朝の楽しみになった。5月に、大学での地域連携プロジェクトである「政所茶レン茶゛ー」に携わる機会があり、滋賀県の特産品である政所茶の茶摘みに貢献した。茶葉を摘むために適切な手の力加減や相応しい葉っぱを見極める方法などの大切さを学ぶことができた。当日雨も降っていたため、指先で濡れた茶葉を摘む触感やパリパリとする音が心地よくて本当に癒された。他に、前期に「ニュースポーツ」科目で聞いたことのないスポーツをしてみて、スポーツとはアスリートがするものだけでなく、日常にいつでも誰とでもできるようなものであり、勝敗と関係なく楽しむものであると理解した。金曜日の授業だったので一週間頑張ったことのご褒美やいい気分転換として履修して本当に良かったと思う。また、この授業があったからこそ朝一番は積極的に運動して授業に臨む習慣を身につけることができたと思う。
日本の冬を経験してからの夏は中東よりも暑く感じた。しかし、日本はアイスの種類が豊富でどれもが美味しいので、暑さを飛ばすのに最もいい方法ではないかと思った。個人的に、暑い時期がたったの4ヶ月だと考えると中東と比べて非常に短期間なのであっという間だった。また、中東でもあってほしい夏対策グッズがいっぱいあって蒸し暑くても心地よく感じさせて本当に助かった。
最後に、現在2年目の後期となっているが、栄養学の本格的な学習がどんどん増えて講義と並行に給食衛生管理実習や臨床栄養学実習などで実力が試されることが多い。実習があるおかげでチームワークや協調性が育まれ、自身が人として抱えている課題なども明白になってきている。これらを一つずつ解決できるよう先生方からの親切な指導に日々感謝している。今までは、緊張で声が震えたり、恥ずかしくて穴があれば入りたいと思ったり、しくじって笑うか泣くか分からなくなったりすることが何回かあり、大学生活はいいことずくめではないと身に染みて感じている。ただ、そういうときは1年前の自身を振り返ってみると、どれだけ成長してきたかにいつも愕然とする。当時できなかったことや案じていたことは今となって手軽にできるようになっている。なので、どのような状況であってもいつかの私のためになっていると肝に銘じている。こうやって、最後は教え甲斐のある学生だったなと思わせるように今のうちにたくさん失敗してたくさん学びたいと思っている。
(December, 2025)
